ソウル半導体、白色LEDにおけるレアアース依存からの脱却を実現
2026. 10. 29
ソウル半導体、白色LEDにおけるレアアース依存からの脱却を実現
系列会社ソウルバイオシス、最小10マイクロメートルのチップでレアアースを使用せず白色光を発する「WICOP 3」の量産を開始
韓国・安山、2026年10月28日 — 過去30年間、白色LEDは青色LEDチップ上に形成されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)などのレアアース材料に依存してきた(図1)。
ソウルバイオシス(Seoul Viosys Co., Ltd.、KOSDAQ:092190)は本日、この依存構造を打破し、レアアースを使用せずに白色光を発するチップの開発および量産を開始したと発表した。チップのサイズは最小10マイクロメートル(µm)まで小型化できる。
ソウルバイオシスと親会社のソウル半導体(Seoul Semiconductor Co., Ltd.、KOSDAQ:046890)は、WICOP技術によってマイクロLED市場を切り開いてきた。WICOPは、パッケージそのものを不要にするチップ構造技術であり、業界では60年に及ぶ半導体の歴史における革命的な技術として広く認識されている。
両社はすでにWICOPを活用し、肉眼では見えない100µm未満の紫外線、青色、緑色、赤色、赤外線LEDを開発し、量産している。その第3世代技術である「WICOP 3」により、レアアースを使用しない白色光の実現が新たに可能となった。
図1. 新たな発明:白色光を発するWICOP 3
経済的効果
1)白色LED市場
世界のパッケージ型LED市場は約150億米ドル規模であり、このうち白色LEDが約100億米ドルを占めている。WICOP 3は、この白色LEDをレアアースフリー技術に置き換えることを可能にする。
さらに重要なのは、WICOP 3が100µm未満のマイクロLEDで白色光を実現した世界初の白色光半導体であるという点だ。このサイズでは、チップを肉眼で確認することはできない。
WICOP 3はレアアースもパッケージも使用しない。レアアースは深刻な環境汚染の一因となるが、WICOP 3には含まれていない。また、従来のLEDに使用される合成シリコーン樹脂、プラスチック、リードフレームも使用していない。
これにより、環境負荷を大幅に低減するとともに、従来の白色LEDと比較して製造コストを約半分に抑えることができる。
2)新市場の創出
小型化されたトランジスタが真空管に取って代わり、電子産業に巨大な新市場を生み出したように、同社は超小型の白色光半導体が同様の変革をもたらすと考えている。
WICOP 3は、窒化ガリウム(GaN)のみで白色光を生成する。GaNは天然に存在する材料から成る化合物であり、チップにはプラスチック、シリコーン、その他の合成有機材料が含まれていない。そのため、実質的に半永久的な耐久性を備え、数十年にわたる使用が可能だという。
照明分野では、肉眼では見えない超小型光半導体を壁紙や窓ガラスに埋め込むことで、照明器具を設置せずに空間を明るくすることが可能になる。
これにより、電球交換の煩わしさや照明器具にかかる高額な費用を解消できる。同社は、現在約100億米ドル規模の白色LED市場を数十倍上回る新たな市場が創出されると期待している。
性能
初期量産段階では、わずか25µm×10µmのマイクロLEDチップから0.015ルーメンの白色光を生成した。
その色度はCIE(国際照明委員会)が定める標準白色領域内に位置している(図2)。発光効率はすでに約100ルーメン毎ワット(lm/W)に達しており、同社は今後2年以内に200lm/Wを達成することを目標としている。
一方、従来の1,000µm×1,000µmのチップでは50ルーメンの光束が得られる。
図2. サイズ別WICOP 3の輝度
技術的意義
これまでWICOP技術によってチップの小型化は進められてきたが、白色光を生成するにはレアアースを含むパッケージが依然として必要だった。
そのため、白色LEDチップは1,000µm未満に小型化できず、製造コスト削減の妨げとなっていた。また、100µm(0.1mm)未満の白色マイクロLEDも実現できなかった。
レアアースを不要にしたことで、この技術的制約が解消された。今後は1,000µm以上の大型チップだけでなく、100µm未満のマイクロLEDでも白色光を生成できる。
同社は、この技術革新を1948年の半導体革命になぞらえている。当時、米国ベル研究所は電子技術を真空管からトランジスタへと進化させた。
同様に、ソウル半導体とソウルバイオシスは、肉眼で見えるLEDの枠組みを超え、目に見えないほど小さなチップから赤色、緑色、青色、赤外線、紫外線、そして白色光を発する技術を開発した。
この変革は、AR(拡張現実)やAIデータ通信を含む、光半導体の新たな時代を切り開くものとなる
図3. 半導体フリップチップとWICOPチップの比較
なお、「フリップチップLED」として販売されている一部の製品には、WICOPの特許技術を模倣したものがある。ソウル半導体は、世界各国で自社の知的財産権を引き続き保護していく。
開発の背景と技術の進化
2010年代以降、韓国の大手企業グループ10社以上と中国企業300社以上がLED市場に参入し、価格競争は激しさを増してきた。
物理学を学んだソウル半導体の創業者、李貞勲(Chung Hoon Lee)氏は、企業が生き残り、成長するためには、戦略的かつ革新的な技術が必要だと判断した。
同社はその後、利益を計上できなかった年度も含め、研究開発と新技術の発明に年間約1億米ドルを投資し続けてきた。
シリコン半導体と光半導体は、いずれも塵や湿気に弱い柔らかい材料で構成されている。このため、両者は60年にわたりパッケージで保護されてきた。
1)WICOP(第1世代)
WICOPの開発は、李氏がある夜に抱いた「なぜ半導体にはパッケージが必要なのか」という素朴な疑問から始まった。
長年の研究開発を経て、ソウル半導体は2018年にWICOPを開発し、本格的な量産を開始した。これは半導体の歴史上、初めてパッケージを必要としないチップとなった。
シリコン半導体が真空管からトランジスタ、さらに数十から数百のトランジスタを集積した集積回路へと進化したように、同社はWICOPも光半導体に同様の進化をもたらし、100µm未満の肉眼では見えないマイクロLEDを実現できると確信した。
また、同社は米カリフォルニア大学サンタバーバラ校(UCSB)と20年間にわたり共同研究開発を進め、1µmレベルのデバイス開発にも成功している。
2)WICOP 2(第2世代)
従来、LEDでは光の照射方向を制御するためにレンズが必要だった。
李氏は「なぜレンズが必要なのか」と問い、さらに「家庭用電源は110Vや220Vなのに、なぜ半導体は3Vでしか動作しないのか」という疑問を持った。
これらの問いから生まれたのがWICOP 2である。
WICOP 2はレンズを使用せずに光を制御でき、12Vまたは24Vの高電圧で動作する。
電気自動車やハイブリッド車には高電圧バッテリーが搭載されている。これらの車両では、高電圧対応の光半導体によって消費電力を20%削減できる。
WICOP 2は現在、Teslaを含むグローバル顧客に供給されている。
3)WICOP 3(第3世代)
第3世代の技術は、「なぜ白色光にはレアアースが必要なのか」という問いから生まれた。
ソウル半導体の創業者、李氏は次のように述べた。
「当社はこのたび、白色光を生成するWICOP 3の開発に成功し、量産を開始しました」
図4. パッケージを不要にしたWICOP技術の進化
今後の計画
ソウルグループは、ソウル半導体とソウルバイオシスで構成されている。
同グループは第4四半期にWICOP 3の量産を開始し、まずは同社の知的財産権を尊重し、製品を継続的に採用してきた顧客への供給を優先する方針だ。
WICOP 3は、レアアースを使用せずに白色光を実現する技術であり、100µm以下という肉眼では見えないサイズでも半永久的な耐久性を備える究極の白色光源として位置付けられている。
一方、同グループは「顧客とは競争しない」という「Keeping Principle(原則を守る経営)」を堅持し、主要顧客と協力して新たな応用市場を開拓していく。
サプライチェーンパートナーの募集
ソウル半導体の系列会社であるソウルバイオシスは、WICOP技術を活用して100µm未満の超小型光半導体を製造している。
WICOPを採用したマイクロLEDは、現在、1cm未満から数十メートルの距離で大量のAIデータを伝送できる。
これまで短距離データ通信では、銅線内の電子を利用してきた。しかし、電子には質量があり、AI時代の膨大なデータ負荷のもとでは、銅配線による通信速度の低下、発熱、消費電力の急増が課題となっている。
同社は代わりに、光を利用してデータを伝送する。光子には質量がないためだ。
約10µmのWICOPチップ1,000個を、1平方ミリメートル以下の領域に格子状に配列することで(図5)、従来比10倍のデータ伝送速度と10分の1の消費電力を実現する。
Omdiaを含む市場調査会社は、この技術とAR分野によって、今後5年間で600億米ドル規模の新市場が形成されると予測している。これは現在のDRAMメモリ市場の半分に相当する規模だ。
李氏は、WICOP 1、2、3を活用し、ARグラスやAIデータ通信を通じて世界中の人々の生活向上に貢献していく考えを示した。
これらの技術は、10µm以下という肉眼では見えないサイズで機能する。
同社は、600億米ドル規模の新市場を共同で創出するため、ARディスプレイおよびAI送信機分野において、信頼できるマイクロLEDの川上・川下サプライチェーンパートナーを求めている。
図5. AI通信用WICOPチップアレイ:WICOPチップ1,000個 × 1GHz = 1,000GHz
ソウル半導体について
ソウル半導体は、15,000件以上の特許と差別化された製品ポートフォリオを保有するグローバルLEDメーカーである。
屋内・屋外照明、自動車、IT(携帯電話、コンピューターなど)、紫外線(UV)など、幅広い用途向けLED製品を研究・開発・量産し、世界中の顧客に供給している。
同社が世界で初めて開発した製品はLED業界の標準となっており、パッケージレスLED「WICOP」、AC・高電圧LED「Acrich」、従来のLEDに比べ10倍以上の明るさを実現した「nPola」、先端UV殺菌技術「Violeds」、全方向に光を放射するフィラメントLED技術、自然光スペクトルLED「SunLike」などの革新的製品が世界市場を牽引している。
詳細は公式ウェブサイト(http://www.seoulsemicon.com/)および公式SNS(YouTube、LinkedIn)を参照。
ソウルバイオシスについて
ソウルバイオシスは、6,000件の特許を基盤に、200nmから1,400nmまでの全波長領域に対応する光半導体チップの製造技術を保有している。
また、VCSEL(垂直共振器面発光レーザー)やレーザーダイオードの製造も可能である。
ディスプレイ向けにR・G・Bを1つのチップに集積した世界初の「WICOP Pixel」も量産している。
2002年に設立されたソウルバイオシスは、現在、UV LED市場で世界シェア第1位を占めており、15,000件の特許を保有する親会社ソウル半導体との協力を通じて、グローバル市場における技術的優位性を確保している。
詳細:www.seoulviosys.com
お問い合わせ先
Seoul Viosys Co., Ltd.
Jinseop Jung
jjs8732@seoulsemicon.com